非課税世帯の支援制度、なぜ前年の収入で決まるの？制度の矛盾と、あなたができること
非課税世帯の支援制度、なぜ前年の収入で決まるの？制度の矛盾と、あなたができること
この記事では、非課税世帯向けの支援制度が、なぜ前年の収入に基づいて決定されるのかという疑問について、具体的な事例を交えながら解説します。制度の矛盾点や、あなたが利用できる可能性のある制度、そして専門家への相談方法について掘り下げていきます。特に、病気や介護といった事情で収入が減少した方の状況に焦点を当て、具体的な対策を提案します。
昨年は収入が無く今年に入って高収入を得るようになっても、今年のその世帯は非課税世帯となり、逆に昨年は収入があったけども何らかの事情（働き手が働けなくなった等）で今年は無収入でも課税世帯となると思われますが、市や国など行政による低所得世帯向けの支援制度のほとんどに非課税世帯という条件がつくのはなぜでしょうか？
我が家の働き手が昨年、病に倒れ身体障碍者となり収入がなくなってしまったので、受けられる支援は受けたいと思い色々調べてみたら、昨年の消費税増税に伴う低所得者向けの臨時給付金やNHK受信料免除、タクシー券、紙おむつ券などなど他にも色々本来なら受けられたはずの支援がすべて課税世帯であるために受けられませんでした。
行政相談や市役所に我が家の事情を説明して訴えましたが「事情はよく理解できますが、そう言う決まりなのでどうにもなりません」との返事でした。向こうの言い分は、どこかでふるい分けというか線引きをしないときりがないから、というのですが、低所得世帯向けの支援なのに前年に収入があったからという理由で翌年は収入が無いのに支援を受けられないという理屈が理解できません。
行政相談の窓口でも、「その辺の矛盾は常々感じているが、制度だから仕方ない」と言っていました。支援制度を公平にするための条件として非課税世帯という条件を付けている、というような説明でしたが、全く納得できませんでした。
行政が前年度の収入が反映される条件を翌年の支援制度の条件にするのは何故でしょうか？
極端な話ですが、例えば一昨年無収入で昨年は高収入を得るようになって生活に困らない世帯でもその世帯は非課税世帯で臨時給付金がもらえるのに、昨年から収入が無く生活に困っている世帯でも住民税課税世帯はもらえないというのは明らかにおかしいと思うのですが・・・。
我が家は、以前から重症の難病で要介護の親を在宅介護していて、今は元働き手と親を一人で在宅介護してるので、私が働けばいい的な回答はご遠慮下さい。（市役所ではそのようなことを提案されましたが無理です）
なぜ支援制度は前年の収入で判断されるのか？
低所得者向けの支援制度が、なぜ前年の収入に基づいて判断されるのか、その背景にはいくつかの理由があります。
- 事務手続きの簡素化: 前年の所得情報は、すでに税務署や市区町村が把握しており、比較的容易に確認できます。これにより、申請者の所得を迅速に確認し、支援の対象者を決定することができます。もし、現在の収入を基準とする場合、申請者の収入を個別に調査する必要が生じ、事務手続きが複雑化し、時間とコストがかかる可能性があります。
- 公平性の確保: 制度設計の段階では、公平性を重視し、客観的な基準を設ける必要があります。前年の収入は、過去の実績として、ある程度の公平性を保つことができます。現在の収入を基準とする場合、収入の変動が激しい人々の状況を正確に把握することが難しく、不公平感が生じる可能性があります。
- 予算管理と制度設計の効率化: 支援制度の予算は、前年の所得状況に基づいてある程度予測されます。前年の収入を基準とすることで、予算の管理がしやすくなり、制度設計も効率的に行えます。現在の収入を基準とする場合、急な収入変動に対応するための柔軟な予算管理が必要となり、制度運営が複雑化する可能性があります。
しかし、この仕組みには、ご相談者様が指摘するように、大きな問題点も存在します。収入が減少したにもかかわらず、前年の収入に基づいて判断されることで、必要な支援が受けられないケースが発生します。特に、病気や介護など、やむを得ない事情で収入が減少した世帯にとっては、生活を脅かす深刻な問題となり得ます。
制度の矛盾点と、なぜ「仕方ない」で終わらせられないのか
前年の収入を基準とする制度の矛盾点は、大きく分けて以下の2点です。
- タイムラグによる不公平感: 前年の収入に基づいて判断されるため、現在の生活状況と支援の必要性が一致しない場合があります。例えば、昨年は高収入だったが、今年に入って病気で働けなくなった場合、支援が必要な状況にも関わらず、支援を受けられないことがあります。
- 個別の事情への対応の難しさ: 制度は、多くの場合、一律の基準で運用されます。そのため、個別の事情（病気、介護、リストラなど）を考慮することが難しく、本当に支援が必要な人に支援が届かないケースが発生します。
「決まりだから仕方ない」という行政側の対応は、確かに制度の運用上、必要な側面もあります。しかし、この言葉で片付けてしまうことは、問題の本質を見過ごしていると言えます。制度の目的は、困っている人々を支援することであり、その目的が達成できていないのであれば、制度の見直しや改善を求める必要があります。
ご相談者様のケースのように、介護や病気といった事情で収入が減少したにも関わらず、支援を受けられない状況は、看過できません。行政は、制度の運用だけでなく、個々の状況に寄り添い、柔軟な対応を検討する必要があります。
あなたが利用できる可能性のある制度
前年の収入を基準とする制度の壁に阻まれても、諦める必要はありません。様々な制度を組み合わせることで、支援を受けられる可能性は十分にあります。以下に、具体的な制度と、その活用方法を紹介します。
1. 医療費控除
医療費控除は、1年間の医療費が一定額を超えた場合に、所得税を軽減できる制度です。病気で治療を受けている場合、医療費控除を申請することで、税金の還付を受けることができます。医療費控除の対象となる医療費には、病院での診療費、薬代、通院費などが含まれます。制度の詳細は、お住まいの地域の税務署にお問い合わせください。
活用方法: 医療費の領収書を保管し、確定申告時に医療費控除の申請を行います。高額な医療費がかかった場合は、税金の還付額も大きくなる可能性があります。
2. 障害者手帳の申請
病気やケガにより、日常生活に支障がある場合は、障害者手帳の申請を検討しましょう。障害者手帳を取得することで、医療費の助成、公共料金の割引、税金の控除など、様々な支援を受けることができます。障害者手帳の申請は、お住まいの市区町村の窓口で行います。
活用方法: 医師の診断書や、障害の状況を証明する書類を準備し、申請を行います。障害の程度に応じて、様々な支援が受けられます。
3. 介護保険サービスの利用
ご家族が介護を必要としている場合は、介護保険サービスの利用を検討しましょう。介護保険サービスを利用することで、介護にかかる費用を軽減し、介護者の負担を軽減することができます。介護保険サービスの利用には、要介護認定を受ける必要があります。お住まいの市区町村の窓口で、要介護認定の申請を行います。
活用方法: 要介護認定を受け、ケアマネージャーと相談しながら、適切な介護保険サービスを利用します。介護保険サービスには、訪問介護、デイサービス、ショートステイなど、様々な種類があります。
4. 生活福祉資金貸付制度
生活福祉資金貸付制度は、低所得者や高齢者、障害者の方々を対象とした、生活費や医療費などの貸付制度です。緊急小口資金や総合支援資金など、様々な種類の貸付制度があります。お住まいの市区町村の社会福祉協議会にご相談ください。
活用方法: 困窮の状況を説明し、必要な資金の貸付を申請します。貸付には、審査が必要となります。
5. その他の支援制度
上記以外にも、様々な支援制度が存在します。例えば、
- 児童扶養手当: ひとり親家庭を対象とした手当
- 特別児童扶養手当: 障害のある児童を養育している家庭を対象とした手当
- 住居確保給付金: 家賃の支払いが困難な方を対象とした給付金
などがあります。お住まいの市区町村の窓口や、福祉事務所に相談し、利用できる制度がないか確認しましょう。
制度利用のためのステップ
上記のような制度を利用するためには、以下のステップで手続きを進める必要があります。
- 情報収集: まずは、利用できる制度について、情報収集を行います。お住まいの市区町村の窓口、福祉事務所、社会福祉協議会などに相談し、必要な情報を集めましょう。インターネット検索も有効です。
- 申請書類の準備: 各制度の申請に必要な書類を準備します。申請書、所得証明書、診断書、介護保険被保険者証など、必要な書類は制度によって異なります。
- 申請: 準備した書類を提出し、申請を行います。申請窓口は、制度によって異なります。
- 審査: 申請後、審査が行われます。審査の結果、支援が受けられるかどうかが決定されます。
- 支援の開始: 審査に通れば、支援が開始されます。支援の内容は、制度によって異なります。
制度の利用には、時間と手間がかかる場合があります。しかし、諦めずに、一つ一つ手続きを進めていくことが重要です。
専門家への相談
制度に関する情報収集や、申請手続きが難しい場合は、専門家に相談することも検討しましょう。専門家は、あなたの状況に合わせて、最適なアドバイスを提供し、手続きをサポートしてくれます。
相談できる専門家としては、
- 社会福祉士: 福祉に関する専門家で、様々な相談に乗ってくれます。
- 行政書士: 申請書類の作成や、手続きをサポートしてくれます。
- 弁護士: 法的な問題について相談できます。
- ファイナンシャルプランナー: お金の専門家で、家計の見直しや、資産形成についてアドバイスしてくれます。
などがあります。専門家への相談は、有料の場合もありますが、あなたの状況をより深く理解し、適切なアドバイスを受けることができます。
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制度の改善を求めるために
現在の制度は、必ずしもすべての人に公平に支援を提供できるものではありません。制度の改善を求めるためには、以下の行動が重要です。
- 声を上げる: 自分の状況を積極的に発信し、制度の矛盾点や改善点を訴えましょう。SNSやブログ、地域の集会などで、自分の声を届けることができます。
- 陳情や請願: 地方議会や国会に、制度の改善を求める陳情や請願を行うことができます。
- 情報公開請求: 制度に関する情報を、情報公開請求によって入手することができます。
- 市民活動への参加: 制度の改善を求める市民団体に参加し、活動を支援することができます。
一人ひとりの声は小さくても、多くの人が声を上げれば、社会を変える力となります。諦めずに、制度の改善を求めていきましょう。
まとめ
非課税世帯向けの支援制度が、前年の収入に基づいて判断されることには、事務手続きの簡素化や、公平性の確保といった理由があります。しかし、この仕組みは、病気や介護といった事情で収入が減少した世帯にとって、大きな問題を引き起こす可能性があります。
制度の矛盾点に直面した場合でも、諦めずに、利用できる制度を探し、専門家に相談し、制度の改善を求めることが重要です。あなたの努力が、より良い社会の実現につながることを願っています。
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