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認知症の親が結んだ土地賃貸借契約、無効にするには?弁護士が教える解決策

認知症の親が結んだ土地賃貸借契約、無効にするには?弁護士が教える解決策

この記事では、認知症の親が締結してしまった土地賃貸借契約を無効にするための法的手段と、その過程で直面する可能性のある問題点、そしてそれらに対する具体的な対策について、深く掘り下げて解説します。介護問題と不動産契約が複雑に絡み合う状況において、ご家族がどのように対応すれば良いのか、具体的なステップと注意点を提供します。専門的な知識がなくても理解できるよう、わかりやすく丁寧に説明します。

成人後見人のいない認知症のみで介護度3認定、介護施設長期入所中の実母が、同居中の実妹と自宅の「土地賃貸借契約書(建物取り壊しも含む)」に署名・捺印(届出印)してしまいました。無効裁判は可能でしょうか。

1. 土地賃貸契約は、4月1日締結。

2. 妹はその後4月1日、「工事請負契約書(4月1日着工、7月31日完成)」を締結。

3. 5月2日現在、旧家を解体済みで、工事進行中。

4. 認知症の母(96歳・66年前寡婦・実子3人(長男(私)・次男・長女))は2年3ヶ月前から、物忘れ・幻覚症状が出始め、精神心療科で診断、介護度3認定、介護施設に入所。

5. 母に自宅解体中の現場を見させても、「私が苦労して建てた家を誰がこんなことにしたのか」、「娘は騙されている」、「こんな年になってこんな目に会うとは悲しい」、「私は何も知らない」と言っています。

6. 私と次男は異論あり、母に成人後見人の申し立てを行う予定。

7. 成年後見人選定後、裁判に寄り、「認知症の母の締結した土地賃貸借契約無効」訴訟を起こせば、無効・解約の可能性は有るでしょうか。

8. 工事進行中なので、後見人選定前の「審判前の保全処分申立書」をすれば、有効でしょうか。

9. 認知症の母の「土地賃貸契約を解除」する方法は無いでしょうか。

10. この「土地賃貸契約」に対抗する方法は無いでしょうか。

以上、ご教示お願い致します。

1. 契約無効の可能性:認知症と契約能力

ご相談のケースは、ご高齢の母親が認知症を患い、その状態で土地賃貸借契約を締結してしまったという非常にデリケートな状況です。まず、重要なのは、契約締結時の母親の「意思能力」です。民法では、意思能力のない者が行った法律行為は無効とされています。

意思能力とは?

  • 契約の内容を理解し、その結果を判断できる能力のことです。
  • 認知症の進行度合いによっては、この意思能力が欠如していると判断される場合があります。

今回のケースでは、母親が介護度3の認定を受けており、過去2年3ヶ月にわたり物忘れや幻覚症状があったという事実から、契約締結時に意思能力が十分でなかった可能性が高いと考えられます。この点を立証することが、契約無効を訴える上で非常に重要になります。

2. 契約無効を求めるための法的手段

契約無効を求めるためには、主に以下の2つの法的手段を検討することになります。

2-1. 成年後見制度の利用

成年後見制度は、認知症などによって判断能力が低下した方の法的保護を目的とする制度です。ご相談者様が既に検討されているように、まずはお母様の成年後見人を選任することが不可欠です。

成年後見人の役割

  • 本人の財産管理や身上監護を行います。
  • 本人の意思を尊重しつつ、不利益な契約から保護します。

成年後見人が選任された後、後見人はお母様の代理人として、土地賃貸借契約の無効を主張することができます。契約締結時の母親の意思能力の欠如を証明するための証拠収集(診断書、カルテ、証言など)が重要になります。

2-2. 契約無効確認訴訟の提起

成年後見人が選任された後、裁判所に対して土地賃貸借契約の無効確認訴訟を提起します。この訴訟では、契約締結時の母親の意思能力の欠如を証明することが最大の焦点となります。

訴訟における主な争点

  • 契約内容の理解度:契約内容を理解していたか。
  • 契約締結の意思:自らの意思で契約したのか。
  • 判断能力の程度:契約の結果を判断する能力があったか。

裁判では、医師の診断書やカルテ、介護記録、親族の証言などが重要な証拠となります。また、契約締結の経緯や状況(契約書の内容、契約時の母親の言動など)も詳細に検討されます。

3. 訴訟を成功させるための証拠収集

契約無効訴訟を成功させるためには、証拠収集が非常に重要です。具体的にどのような証拠が必要となるのでしょうか。

  • 医師の診断書・意見書:認知症の診断、病状、契約締結時の意思能力に関する意見が記載されたもの。
  • カルテ:通院歴、投薬記録、症状の経過などが記録されており、認知症の進行度合いを裏付ける。
  • 介護記録:介護施設での記録や、ご家族による介護記録。日常生活における認知機能の状況がわかる。
  • 親族や関係者の証言:契約時の母親の様子、言動、判断能力に関する証言。
  • 契約書:契約内容の詳細を確認し、契約締結の経緯を把握する。
  • その他:写真、ビデオ、音声記録など、契約時の状況を客観的に示すもの。

これらの証拠を総合的に判断し、裁判所は契約の有効性を判断します。証拠の質と量が、勝敗を大きく左右します。

4. 訴訟提起前の対策:保全処分の検討

工事が進行中であるため、成年後見人の選任を待っている間に、建物の解体や工事が進んでしまう可能性があります。このような事態を避けるために、裁判所に「審判前の保全処分」を申し立てることが考えられます。

保全処分の目的

  • 工事の進行を一時的に停止させる。
  • 土地の現状を変更させない。

保全処分が認められれば、工事の中止や現状復帰を求めることが可能になります。ただし、保全処分は緊急性が必要とされるため、速やかな対応が求められます。弁護士に相談し、適切な手続きを進めることが重要です。

5. 契約解除の可能性

契約無効が認められない場合でも、契約を解除できる可能性がないか検討する必要があります。

契約解除を検討する理由

  • 契約内容に問題がある場合。
  • 相手方の債務不履行がある場合。
  • 事情変更の原則が適用される場合。

契約解除のためには、契約書の内容を精査し、解除事由の有無を確認する必要があります。弁護士に相談し、契約解除が可能かどうか、具体的な法的根拠に基づいたアドバイスを受けることが重要です。

6. 妹との関係:円満な解決を目指して

今回のケースでは、妹が土地賃貸借契約に関与しているため、妹との関係も重要な要素となります。親族間の争いは、感情的な対立を生みやすく、解決を困難にする可能性があります。

円満な解決を目指すために

  • 冷静な話し合いを試みる。
  • 弁護士を交えて話し合う。
  • 和解交渉を検討する。

感情的にならず、客観的な視点から問題解決に取り組むことが重要です。弁護士は、法的なアドバイスを提供するだけでなく、円満な解決に向けた交渉をサポートすることもできます。

7. 専門家への相談:弁護士と介護専門職の連携

複雑な問題であるため、専門家への相談は不可欠です。弁護士は、法的観点から契約の有効性や訴訟の見通しについてアドバイスを提供します。介護専門職(ケアマネジャーなど)は、認知症の状況や介護に関する専門的な知識を提供し、適切なサポート体制を構築する上で重要な役割を果たします。

専門家への相談のメリット

  • 法的なアドバイス:契約の有効性、訴訟の見通し、法的手段に関するアドバイス。
  • 証拠収集のサポート:必要な証拠の収集に関するアドバイスと支援。
  • 交渉の代行:相手方との交渉を円滑に進めるためのサポート。
  • 精神的なサポート:不安や悩みを共有し、解決に向けて一緒に取り組む。

弁護士と介護専門職が連携することで、法的側面と介護的側面の両方から、最適な解決策を見出すことができます。

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8. 費用と時間:現実的な視点

訴訟や成年後見制度の利用には、費用と時間がかかります。事前にこれらの要素を考慮し、現実的な計画を立てることが重要です。

費用の内訳

  • 弁護士費用:相談料、着手金、報酬金など。
  • 鑑定費用:医師による鑑定費用など。
  • 訴訟費用:印紙代、郵送費など。
  • 成年後見人報酬:後見人への報酬。

費用は、事案の複雑さや弁護士の報酬体系によって異なります。事前に弁護士に見積もりを依頼し、費用全体の見通しを立てておくことが大切です。

時間の目安

  • 成年後見人の選任:数ヶ月程度。
  • 訴訟:1年以上かかる場合もある。
  • 和解交渉:数ヶ月〜1年程度。

訴訟は時間がかかるため、長期的な視点での対応が必要です。焦らず、計画的に進めていくことが重要です。

9. 予防策:将来に備える

今回のケースを教訓に、将来的なトラブルを未然に防ぐための対策を講じておくことが重要です。

具体的な予防策

  • 任意後見制度の利用:判断能力が低下する前に、信頼できる人に財産管理や身上監護を委託する契約を結ぶ。
  • 家族信託の活用:財産の管理・承継を円滑に行うための制度。
  • 定期的な健康診断:認知症の早期発見に繋がる。
  • 財産管理に関する家族会議:財産管理の方針や、将来的な対策について話し合う。

これらの対策を講じることで、将来的なトラブルを回避し、安心して生活を送ることができます。

10. まとめ:冷静な判断と迅速な行動

認知症の親が締結した土地賃貸借契約の問題は、感情的になりがちな状況ですが、冷静な判断と迅速な行動が求められます。成年後見制度の利用、契約無効確認訴訟の提起、保全処分の検討など、様々な法的手段を駆使して、問題解決に取り組みましょう。

重要なポイント

  • 意思能力の有無:契約締結時の母親の意思能力を証明することが重要。
  • 証拠収集:医師の診断書、カルテ、介護記録などを収集する。
  • 専門家への相談:弁護士や介護専門職に相談し、適切なアドバイスを受ける。
  • 円満な解決:妹との関係を考慮し、円満な解決を目指す。
  • 将来への備え:任意後見制度や家族信託などを活用し、将来的なトラブルを未然に防ぐ。

今回のケースが、ご家族にとって最善の解決へと繋がることを願っています。困難な状況ではありますが、諦めずに、一つ一つ問題を解決していきましょう。

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