「うつ病」と診断された兄との向き合い方：家族ができること、キャリア支援の視点から
「うつ病」と診断された兄との向き合い方：家族ができること、キャリア支援の視点から
この記事では、ご家族が「うつ病」と診断された方の対応について、特にキャリア支援の視点から、具体的なアドバイスを提供します。精神的な不調を抱えるご家族への接し方、そして、その方が再び社会で活躍するためのサポートについて、一緒に考えていきましょう。
数年前に兄がキャバクラの女性にのめり込み３００万円の借金を作りました。私と弟で返済しましたが、その後兄は「俺はうつ病だ」と言い出し会社も辞めてしまいました。けれど私たち家族が見ている限り兄は元気です。毎日部屋で動画を見て、食べたいものを母にリクエストし、友人と居酒屋に行き（時々キャバクラにも行くらしい）、家で夕食を取る時はテレビを見て大笑いしています。先日は学生時代の友人とサッカーチームも作ったそうです。
私と弟で元気なんだから働いてほしいと言ったところ週３日のバイトははじめましたが、その途端「俺はうつ病だ」とまた言い出して病院に通い、うつ病の診断書を持ってきました。
私も会社でうつ病の人を見てきましたがみんな顔に生気がなく辛そうでした。だからこそ毎日楽しそうな兄がうつ病と診断されたことに驚いています。
「自分はつらい、大変だ、死にたい」などと病院で言えばすぐにうつ病と診断されるものなのでしょうか？
家族会議をするたびに「うつ病だからこれ以上は働けない。医師が障がい者手帳が貰えるかもと言っていた。なんだか気分が沈むし眠れない・・」と言って部屋にこもってしまいます。（兄は眠れないと言っていますがいびきが聞こえるので毎日きちんと眠っています）
質問をまとめると
- 精神科でうつ病と診断されるのは簡単な事なのか
- 本当に障がい者手帳が発行されてしまうのか
うつ病診断の現実：診断のプロセスと障がい者手帳について
ご家族が「うつ病」と診断された際の疑問にお答えします。精神科での診断プロセス、そして障がい者手帳について、正確な情報を提供します。
精神科での診断：診断基準と注意点
精神科医がうつ病と診断する際には、いくつかの診断基準が用いられます。代表的なものに、DSM-5（精神疾患の診断と統計マニュアル第5版）やICD-10（国際疾病分類第10版）があります。これらの基準に基づき、医師は患者の症状、持続期間、重症度を評価します。主な症状としては、抑うつ気分、興味または喜びの喪失、食欲の変化、睡眠障害、疲労感、集中力の低下、自尊心の低下、罪悪感、希死念慮などがあります。
しかし、診断は客観的な検査だけではなく、患者の自己申告に大きく依存します。そのため、患者が自身の症状をどのように表現するかによって、診断結果が左右される可能性があります。また、うつ病には様々なタイプがあり、症状の現れ方も人それぞれです。例えば、非定型うつ病のように、食欲増加や過眠といった、一般的なうつ病とは異なる症状を示す場合もあります。
今回のケースのように、ご家族が「元気に見える」と感じていても、本人が苦痛を感じている可能性は十分にあります。表面的な行動だけでは、その人の内面的な苦しさを理解することは難しいのです。また、借金問題や人間関係の悩みなど、精神的な負担が大きい状況下では、うつ病を発症しやすくなることもあります。
障がい者手帳の発行：申請と審査のプロセス
障がい者手帳（精神障害者保健福祉手帳）は、精神疾患を持つ方が、社会生活を送る上で必要な支援を受けるために発行されるものです。手帳の申請には、医師の診断書が必要となり、診断書には病状や日常生活への影響が記載されます。手帳の等級は、症状の重さや日常生活への支障度合いによって1級から3級に区分されます。
障がい者手帳が発行されるかどうかは、医師の診断と、申請者の状況を総合的に判断して決定されます。手帳を持つことで、医療費の助成、公共料金の割引、就労支援などのサービスが受けられるようになります。ただし、手帳の取得は、必ずしも「すぐに」できるものではありません。申請から発行までには、審査期間が必要となります。
今回のケースでは、医師が「障がい者手帳が貰えるかも」と発言していることから、兄の症状が一定の基準を満たしている可能性があります。しかし、手帳の取得は、本人の意向や、専門家との相談、そして適切なサポート体制の構築が不可欠です。
家族ができること：理解とサポートの重要性
ご家族がうつ病と診断された場合、どのように接すれば良いのでしょうか。ここでは、家族としてできること、そして、その際の注意点について解説します。
1. 理解と共感：まずは話を聞くことから
うつ病の方にとって、最も大切なのは、周囲の理解と共感です。まずは、本人の話をじっくりと聞き、その気持ちに寄り添うことが重要です。「つらい」「大変だ」という言葉だけでなく、その背景にある感情や、具体的な悩みにも耳を傾けましょう。批判したり、否定したりするのではなく、まずは「あなたの気持ちがわかるよ」という姿勢を示すことが大切です。
ただし、共感する際には、感情的になりすぎないように注意しましょう。家族もまた、不安や戸惑いを感じることがあるかもしれません。しかし、冷静さを保ち、客観的な視点を持つことも重要です。専門家のアドバイスを参考にしながら、適切な距離感を保ちましょう。
2. 専門家との連携：適切な治療とサポート
うつ病の治療には、精神科医による薬物療法や、カウンセリングなどの精神療法が用いられます。ご家族は、本人が適切な治療を受けられるように、医療機関への受診を勧め、通院をサポートすることが大切です。また、必要に応じて、精神保健福祉士や、臨床心理士などの専門家と連携し、家族全体でサポート体制を構築しましょう。
治療の効果を最大限に引き出すためには、本人の治療への積極的な参加が不可欠です。ご家族は、本人が治療に前向きに取り組めるように、励まし、サポートすることが重要です。また、治療の経過や、本人の状態について、医師や専門家と情報共有し、適切なアドバイスを受けましょう。
3. 休息と生活環境の整備：心身の回復を促す
うつ病の治療において、十分な休息は非常に重要です。ご家族は、本人が心身ともに休養できる環境を整えることが大切です。例えば、静かな環境を提供したり、家事の負担を軽減したりするなど、本人が安心して過ごせるように配慮しましょう。
また、規則正しい生活習慣を確立することも重要です。睡眠時間を確保し、バランスの取れた食事を摂り、適度な運動をすることも、症状の改善に役立ちます。ご家族は、本人が健康的な生活習慣を維持できるように、サポートしましょう。
4. 焦らない：長期的な視点を持つ
うつ病の治療は、時間がかかる場合があります。焦らずに、長期的な視点で見守ることが大切です。症状の改善には波があり、時には悪化することもあります。一喜一憂せずに、本人のペースに合わせて、サポートを続けましょう。
また、ご家族自身も、心身の健康を保つことが重要です。過度な負担を感じた場合は、専門家や、他の家族に相談し、一人で抱え込まないようにしましょう。
キャリア支援の視点：再就職への道
うつ病からの回復を目指す中で、仕事への復帰は、大きな目標の一つとなります。ここでは、キャリア支援の視点から、再就職を成功させるためのポイントを解説します。
1. 適切な休養と治療：心身の回復が最優先
再就職を考える前に、まずは心身の回復を最優先に考えましょう。十分な休養と、適切な治療を受けることが不可欠です。医師の指示に従い、薬物療法や精神療法を継続し、症状の改善を目指しましょう。
また、本人が自分の病状をしっかりと理解することも重要です。自分の強みや弱み、得意なことや苦手なことを把握し、無理のない範囲で、仕事を探すことが大切です。
2. 就労移行支援：専門家のサポートを活用
就労移行支援事業所は、就職を希望する精神疾患のある方々を対象に、就職に向けた訓練や、職場探し、就職後のサポートなどを行う施設です。ここでは、専門のスタッフが、就職に関する様々な相談に対応し、個別のニーズに合わせた支援を提供します。
就労移行支援事業所では、職業訓練、職場実習、面接対策、履歴書の書き方指導など、就職に必要なスキルを身につけることができます。また、企業との連携も行っており、就職先の紹介や、職場定着のサポートも行っています。
3. 障害者雇用：選択肢の一つとして検討
障害者雇用は、障害のある方が、その能力や適性に応じて、働くことができるように設けられた雇用形態です。障害者雇用枠で働くことで、合理的配慮を受けながら、安心して働くことができます。
障害者雇用では、企業の理解が進んでおり、障害のある方の特性に合わせた働き方や、職場環境が提供される場合があります。また、障害者手帳を持っていることで、様々な支援制度を利用することができます。障害者雇用は、再就職の選択肢の一つとして、検討する価値があります。
4. 自己分析とキャリアプラン：自分らしい働き方を見つける
再就職に向けて、まずは自己分析を行い、自分の強みや、興味のある分野、得意なことなどを明確にしましょう。そして、これまでの経験やスキルを活かせる仕事、または、新しい分野に挑戦することも可能です。
キャリアプランを立てる際には、自分の希望や、ライフスタイルに合わせて、柔軟に考えることが大切です。正社員だけでなく、契約社員、派遣社員、アルバイトなど、様々な働き方があります。また、在宅勤務や、テレワークなど、働き方の選択肢も広がっています。
5. 家族のサポート：理解と応援が力になる
再就職活動は、本人にとって大きな挑戦です。ご家族は、本人の気持ちに寄り添い、励まし、応援することが大切です。焦らずに、本人のペースに合わせて、サポートを続けましょう。
また、ご家族自身も、再就職に関する情報を収集し、本人のサポートに役立てましょう。就労移行支援事業所や、ハローワークなど、様々な機関が、就職に関する相談や、情報提供を行っています。積極的に活用し、本人の就職を支援しましょう。
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まとめ：家族と専門家が連携し、共に歩む
うつ病は、誰にでも起こりうる病気です。ご家族がうつ病と診断された場合、まずは、本人の気持ちを理解し、寄り添うことが大切です。そして、専門家と連携し、適切な治療とサポートを提供しましょう。焦らずに、長期的な視点で見守り、共に歩んでいくことが、回復への道を開きます。
キャリア支援の視点からは、再就職に向けて、自己分析を行い、自分の強みや、興味のある分野を明確にすることが重要です。就労移行支援事業所や、障害者雇用などの選択肢も検討し、自分らしい働き方を見つけましょう。家族の理解と応援は、大きな力となります。共に未来を切り開きましょう。
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