要介護認定調査の疑問を解消！専門家が解説する更新認定の仕組みと注意点

要介護認定の認定調査(更新認定)について質問です。更新認定の場合、調査員として認定調査できるのは、・市町村・指定居宅介護支援事業者・地域密着型介護老人福祉施設・介護保険施設・地域包括支援センター・介護支援専門員のうち、厚生労働省令で定めるもの（人員・設備・運営基準で定めている利益の授受･供与の禁止に違反したことのないこと）となっています。それで疑問に思ったことがあります。 ① 特別養護老人ホームに勤めていたとき、利用者の方の更新認定の調査をそこの施設ケアマネがやったり、普段は介護職だがケアマネ及び認定調査員の資格を持っているものがやったり、それだけならわかるのですが、外部の知らない調査員が来たりでわけがわかりません。自分の特別養護老人ホームのケアマネ資格を持っている人間だけでやれば事は足りると思われるのに、なぜ外部の調査員になる場合があるのか？疑問です。そもそも、「介護保険施設」と「人」ではなく、「施設」が更新認定の委託を認められているのであれば、ケアマネ資格を持っていなくても、施設長とか主任とか、その利用者の担当職員などは調査してはいけないのでしょうか？ ② 小規模多機能型居宅介護事業所に勤めていたとき、そこの施設ケアマネがそこの利用者の認定調査をしていました。たぶん上記の「介護支援専門員のうち、厚生労働省令で定めるもの（人員・設備・運営基準で定めている利益の授受･供与の禁止に違反したことのないこと）」に該当しているからなのだろうと思ったのですが、平成23年のケアマネの試験問題で、「要介護認定の認定調査について、特定施設入居者生活介護を行う有料老人ホームは受託できる」という選択肢で×でした。これは小規模多機能型居宅介護なら受託できて、特定施設入居者生活介護なら受託できないということなのでしょうか？またグループホームやデイサービスだったらどうなのでしょうか？いろいろ調べてもさっぱりわかりません。 ①、②についてご回答よろしくお願いいたします。

１．要介護認定調査：公平性と専門性の確保

まず、ご質問の核心は「なぜ外部調査員が必要なのか？」「施設内職員だけで調査できないのか？」という点にあります。これは、要介護認定調査の公平性と専門性を確保するためです。

公平性：施設内職員が調査を行う場合、どうしても主観が入ってしまったり、施設の都合に偏った評価となってしまう可能性があります。外部の調査員は、客観的な視点から利用者の状態を評価し、公平な認定を行う役割を担います。
専門性：認定調査は、医学的知識や介護に関する専門的な知識を必要とします。全ての施設職員が認定調査員としての資格や十分な知識・経験を持っているとは限りません。外部調査員は、専門的な訓練を受けた上で認定調査員として認定されているため、より正確な評価が期待できます。

そのため、施設内だけで調査を行うことは、必ずしも適切とは言えません。もちろん、施設のケアマネジャーや認定調査員資格を持つ職員が調査を行うことは可能ですし、多くのケースで行われています。しかし、一定の割合で外部調査員による調査が行われることで、認定結果の信頼性を高める仕組みになっているのです。

２．施設の種類と認定調査員の資格

次に、特定施設入居者生活介護、小規模多機能型居宅介護、グループホーム、デイサービスといった様々な介護サービス事業所における認定調査員の資格についてご説明します。

ご質問の平成23年のケアマネ試験問題の選択肢「特定施設入居者生活介護を行う有料老人ホームは受託できる」が×だったのは、その施設自体が認定調査を受託できるわけではないことを意味します。 「介護保険施設」と記載されているのは、施設が認定調査の委託を受ける主体となるのではなく、その施設に所属する認定調査員が調査を行うという意味です。

つまり、特定施設入居者生活介護を行う有料老人ホームであっても、その施設に所属する、厚生労働省令で定める要件を満たした認定調査員がいれば、その調査員は認定調査を行うことができます。施設長や主任といった管理職は、たとえ介護の専門知識があっても、認定調査員としての資格がなければ調査を行うことはできません。

小規模多機能型居宅介護：施設のケアマネジャーが認定調査を行っていたのは、そのケアマネジャーが認定調査員の資格を有し、かつ利益相反がないことを確認した上で行われたものと考えられます。
特定施設入居者生活介護を行う有料老人ホーム：施設自体が認定調査を受託することはできませんが、施設内に認定調査員の資格を持つ職員がいれば、その職員が調査を行うことは可能です。
グループホーム、デイサービス：これらの施設についても、同様に、認定調査員の資格を持つ職員がいれば、その職員が認定調査を行うことができます。ただし、外部調査員が派遣されるケースも存在します。

３．利益相反の回避と倫理的な観点

認定調査において重要なのは、利益相反の回避です。施設職員が自施設の利用者の調査を行う場合、どうしても施設の都合に配慮した評価をしてしまう可能性があります。そのため、外部調査員による調査が導入されているのです。

これは、利用者の権利を守るため、そして要介護認定制度の信頼性を維持するために不可欠な要素です。公平で客観的な評価を行うために、認定調査員には高い倫理観と専門性が求められます。

４．具体的なアドバイス：認定調査への対応

介護現場で働く皆様にとって、認定調査は重要な業務です。以下に、スムーズな対応のためのアドバイスをまとめます。

認定調査員の資格取得：介護現場で働く方は、認定調査員の資格を取得することで、自身のキャリアアップだけでなく、施設の業務効率化にも貢献できます。資格取得のための研修制度などを活用しましょう。
記録の正確性：認定調査においては、利用者の状態を正確に記録することが非常に重要です。日々の記録を丁寧に、正確に行うことで、調査員の負担を軽減し、スムーズな調査に繋がります。
外部調査員との連携：外部調査員が来た際には、積極的に協力し、必要な情報を提供しましょう。スムーズな情報共有は、正確な認定に繋がります。
制度の理解：要介護認定制度の仕組みを正しく理解することで、疑問や不安を解消し、より円滑な業務遂行に繋がります。

５．成功事例：外部調査員との良好な連携

ある特別養護老人ホームでは、外部調査員との連携を強化することで、認定調査の精度向上に成功しました。施設職員は、日々の記録を詳細に作成し、外部調査員との情報共有をスムーズに行うことで、調査員の理解を深め、誤解を防ぐことができました。その結果、利用者への適切なサービス提供に繋がり、施設の評判向上にも繋がりました。

６．まとめ

要介護認定調査は、利用者にとって非常に重要な手続きです。公平性と専門性を確保するために、施設内職員だけでなく、外部調査員も重要な役割を担っています。施設職員は、認定調査制度の理解を深め、外部調査員との連携を強化することで、利用者にとってより良いサービス提供に繋げることが可能です。

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