介護職における「少し脱線した行動」の理解と対応：発達障害の可能性と具体的な支援策

介護職で、「少し脱線した行動をとる人」について、質問です。私の介護現場（有料老人ホーム）には、こんな人（男性）がいます。・決められた仕事が、自身の口では説明出来るが、行動が伴わない。食堂へ、車いすに移乗し、離床介助を行わなければならない入居者様が（例えば）５人いるんです。力仕事なんですが、その５人を介助すればいいだけなのに、その５人を後回しにして、軽介助でいい入居者様を誘導したり、お茶くみなど、どうでもいい仕事をするので、他の職場のスタッフが、するはずの仕事が無くなります。最終的に、その５人の介助をするのですが、時間がずれ込み遅くなって、みな、イライラします。時間帯によって、尿取りパットのサイズが変わる入居者の方がおられるんです(夜勤帯はスーパーロング、日勤帯は尿取りパッド）が、その方の排泄介助で、夜勤帯において、日勤帯の尿取りパッドを使用し、夜勤業務を終わるんです。ナースに仕事を依頼されると、「はいよっ」ってよく働くんですが、肝心な自分の業務をやらずに、依頼されたことをやるので、他の人にその分の仕事が回ってきます。レクリエーションなどを担当すると、レクリエーションに集中しすぎているせいか、入居者様の誘導や、そのほか、日中での必須業務（決められた清掃など）を忘れて帰宅します。食事配膳を優先すべき時に、自分が好きな入居者に食事介助を始める…しかも、その入居者は、介助不要なのに…そして、また、思い出したように、配膳に戻ります。業務中、PHSで連絡を取ろうとしても、なかなかつながらない。どこにいるかわからない。・「なにをやったらいいか、わかってるよね。」と尋ねると、口頭では、全部説明できるスタッフなんです。でも、行動が、なにか、おかしい。コミュニケーションは、一応、普通に取れます。冗談も言えます。ただ、こちらから話しかけないと、このスタッフから話しかけてくることは非常に少ないです。数カ月たつと、業務内容が自己流になっていき、他のスタッフに負担がかかるので、定期的に指摘していかないといけません。夜勤では、「自分の時は、入居者様は穏やかで、良眠されているので、なにもない。」と豪語しますから、記録することがない。日誌もほとんど、空白。過去にこのスタッフの夜勤明けには、数名の方が居室内で亡くなられており、本人曰く、「自分が巡視・訪室した時には、異常なかった。」という話。職場は女性が多く、男性スタッフは少ないです。女性スタッフとは、特にケンカなどはないです。穏やか。というほどでもない、普通の性格です。ただ、女性スタッフからは、「この人だけ、何か抜けている」と、時折報告が上がります。確定診断というと言葉が違いますが、このような人は、何か、身体的、精神的、生理的などの、異変とか、特徴とか、一般的に「腑に落ちる理由」など、ご存知の方がおられたら、教えてください。「発達障害だろう」と、他のスタッフから言われてますが、もしかりにそうだとしたら、どのような部類なのか、とか、具体的に似た例の方などご存知の方がおられたら、教えてください。あと、「自分も同じタイプだが、このように扱ってくれたら、助かるんだけど。」などありましたら、教えてください。宜しくお願いします。

この記事では、介護職で働く中で直面する、指示された業務と実際の行動にずれが生じるスタッフへの対応について、具体的な事例を元に解説します。特に、発達障害の可能性に着目し、その理解を深め、より効果的な支援策を検討していきます。職場環境における配慮、本人への適切なコミュニケーション、そして専門家への相談といった多角的なアプローチを提案します。

1. 行動の特徴と発達障害の可能性

ご質問にあるスタッフの行動パターンは、いくつかの発達障害の特徴と重なる部分が見られます。特に、**ADHD（注意欠如・多動性障害）**や**ASD（自閉スペクトラム症）**の可能性が考えられます。

ADHDの可能性：指示されたタスクの優先順位付けや遂行に困難がある、集中力が持続しない、衝動的な行動が見られる、といった点はADHDの特徴と一致する可能性があります。例えば、軽介助の入居者様への対応に集中し、本来優先すべき重介助の入居者様を後回しにする、レクリエーションに集中しすぎて他の業務を忘れる、といった行動は、ADHDの「注意散漫」や「衝動性」に関連していると考えられます。
ASDの可能性：柔軟な対応が苦手で、ルーティンワークを好む、コミュニケーションに困難がある、といった点もASDの特徴と関連する可能性があります。例えば、夜勤帯に日勤用の尿取りパッドを使用する、PHSへの連絡がつながらない、といった行動は、状況の変化への対応が苦手であること、または、周囲とのコミュニケーション不足によるものと考えられます。また、自分のやり方に固執し、他のスタッフに負担をかける点もASDの特徴と合致する可能性があります。

しかし、これらの症状だけで診断を下すことはできません。専門家による適切な評価が必要です。ご質問にある「何か抜けている」という周囲の印象も、発達障害の可能性を示唆する重要な情報です。

2. 職場環境の改善と具体的な対応策

発達障害の可能性があるスタッフへの対応は、単に注意するだけでなく、職場環境の改善と具体的な支援策が必要です。

視覚的な支援：スケジュール表やタスクリストを視覚的に分かりやすく提示することで、業務の優先順位や流れを把握しやすくします。写真やイラストなどを活用するのも効果的です。例えば、時間帯別の尿取りパッドのサイズを写真付きで掲示するなど。
作業手順の明確化：各業務の手順を細かく、具体的に記述したマニュアルを作成し、常に参照できるようにします。写真や図解などを加えることで、理解度を高めることができます。特に、緊急性の高い業務については、分かりやすく強調表示します。
定期的なフィードバック：業務の進捗状況を定期的に確認し、必要に応じてフィードバックを行います。ただし、批判的な言葉ではなく、具体的な行動を指摘し、改善策を一緒に考えることが重要です。「〇〇の作業は、手順書通りに進めるとスムーズにいきますよ」といったように、具体的な解決策を示すことが大切です。
チームワークの強化：他のスタッフと協力して業務を進める体制を構築します。例えば、ペアワークを取り入れることで、業務の抜け漏れを防ぎ、困ったことがあればすぐに相談できる環境を作ります。また、定期的なミーティングを行い、情報共有を徹底します。
PHSの常時携帯：PHSを常時携帯し、連絡が取れるように促します。緊急時にも迅速に対応できるよう、PHSの使用方法について改めて指導します。
記録の重要性の再確認：日誌の重要性を改めて伝え、記録方法について丁寧に指導します。記録テンプレートを用意する、記録内容の例を示すなど、具体的な支援を行います。記録が苦手な場合は、記録内容を口頭で伝え、他のスタッフが代わりに記録するなどの工夫も考えられます。

3. 専門家への相談

上記のような対応策を試みても改善が見られない場合、または、発達障害の診断が必要な場合は、専門家への相談を検討しましょう。

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産業医や精神科医、臨床心理士など、適切な専門家にご相談することで、スタッフの特性を理解し、より効果的な支援策を立てることができます。また、職場全体で発達障害への理解を深めるための研修なども検討しましょう。

4. 本人への配慮とコミュニケーション

スタッフ自身も、自分の行動に悩んでいる可能性があります。そのため、批判的な態度ではなく、共感的な姿勢で接することが重要です。

彼の強みを活かす：彼の得意分野や興味のある分野を把握し、その能力を活かせる業務を割り当てます。例えば、レクリエーションが得意であれば、レクリエーション担当を継続しつつ、他の業務とのバランスを調整します。
小さな成功体験を積み重ねる：小さな目標を設定し、達成することで自信をつけさせます。達成したら、きちんと褒めて、肯定的なフィードバックを与えます。
具体的な指示と明確な期待：指示は具体的に、簡潔に、そして、期待する行動を明確に伝えましょう。曖昧な指示は混乱を招くため、避けるべきです。
定期的な面談：定期的に面談を行い、業務の進捗状況や困っていることなどを聞き取ります。彼の意見を尊重し、一緒に解決策を探る姿勢を示すことが重要です。

5. まとめ

介護職における「少し脱線した行動」は、発達障害の可能性を含め、様々な要因が考えられます。職場環境の改善、具体的な支援策、そして専門家への相談を組み合わせることで、スタッフの能力を最大限に引き出し、働きやすい環境を構築することが重要です。焦らず、段階的に対応を進め、スタッフと良好な関係を築くことで、より良いチームワークを実現できるでしょう。そして、何より、入居者の方々への安全で質の高い介護サービスを提供し続けることが大切です。もし、より具体的な支援策や、個別の状況に合わせたアドバイスが必要であれば、専門家にご相談ください。

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