「辞めたい」職員への対応:人手不足の職場でできること
「辞めたい」職員への対応:人手不足の職場でできること
今回の記事では、人手不足の職場で働く40代の医療職の職員が退職を希望しているという、非常に悩ましい状況について掘り下げていきます。退職を引き止めるべきか、それとも見送るべきか、どのように対応すれば良いのか、具体的なアドバイスを提供します。この問題は、多くの医療・介護施設で共通して起こりうるものであり、解決策を見つけることは、組織全体の安定と、残された職員のモチベーション維持にも繋がります。
私の職場で働いている40代前半の医療職の職員のことについて。私の働いている職場はご多分に漏れず慢性的な人手不足で、1人が当日休めば遣り繰りが大変になるなど、かなりギリギリの人数で廻しています。基準としては10人居れば良いことにはなっていますが、パートの方も含めてですので、常勤の職員は実質5人しか居ません。
そんな中、昨年の今頃入職してきた40代前半の男性の医療職の職員が居ます。その方は他の施設や病院を廻ってきて、当施設にやってきたのですが、特に他の職員とトラブルを起こすことなく、かといって職場の飲み会や、他の職員とプライベートで遊ぶといった事は無く、時間通りに出勤し、時間が来れば定時に帰るという職員でした。仕事もソツなくこなしてくれていました。
別にそれ自体は何の問題もないですし、私もプライベートのことに関しては干渉しない主義なので、家族構成なども深くは聞いてはいませんでした(独身で母親と同居しているというのは自分で言っていましたが、未婚なのか結婚歴があるかまでは不明です)。
ところが、先日のミーティングでこんな事を言いだしました。「実は来年の3月いっぱいで辞めさせて頂きたい。職場には何の不満もないし、皆さんも良い人ばかり。何人かとは肌の合わない人も居るけど、それはどこに行ってもあることだからそれが原因じゃない。給料自体もこの地域の相場を考えれば、高くもないけど安くもないし、それも不満はない」とのこと。
なんで?と尋ねると「実は母方の祖母が北海道に1人で住んでいる。今までは北海道に住んでいる伯父・伯母さん達が面倒を看てくれていた。でも伯父・伯母さん達にも家庭があるし、彼らも今までは介護休職を使ったり同居したりするなどしていたけど、もう限界になってきた」と。
そして「伯父・伯母さん達は、私たちの母でもあるけど、あなた達(私の母と私の事)の母や祖母でもあるのよ!」「私たちにも生活がある。遠くに住んでいるからと言って面倒を看なくていいという事はない」とも言われたといいました(当施設は埼玉。その方は群馬県在住)
ADL自体は問題はないが、やはり高齢者が1人で家に居るのは問題が多く、施設入所を勧めたが「ここはお爺さんと一緒にやっとの思いで建てた家。ここで私が餓死しようが焼け死のうが好きにさせてくれ」と。
そして「母と北海道に行き、祖母の面倒を看る」「でもこちらにも家があるので月に1週間くらいは帰ってくる」とのこと。生活費は?と尋ねると「そのことに関しては…」と言葉を濁すだけで深くは答えてくれませんでした。ただ、言葉の端々から、生活には困っている感じでは無く、何か副収入があるような口ぶりでした。以前一度だけ男性職員数人で食事に行き、支払いの時にその方が代表で支払ってくれたのですが、その方はゴールドカードを持っていました。どう考えてもこの仕事で、かつ転々としている方がゴールドカードを持つのは難しいのでは?と思ったものです。
話を元に戻します。
仕事柄、こういった事案には遭遇している反面、いざ身近で起きるとなると、何とも言えません。お婆様をこちらに連れて来て、ウチの施設に入れれば?と言いましたが、彼の母親が「それは絶対に嫌!」と言い、お婆様も「北海道を離れる位なら死んだ方がマシ!」といったとか。
彼の言う事には無理があるなぁと思うのと、辞められたら困るという思いがあり、何んとか彼の矛盾点を突きたいと思ってしまうのですが…。
先日も仕事帰りに更衣室で一緒になった時に、辞められたら大変なんだよねぇと言いましたが「確かに人手不足なのは分かります。でも私が辞めるのを止められても、私も困ります。職員の確保出来ないのは理事長や事務長の責任では?それを私のせいにされても困ります」と、これまたぐうの音も出ないほど正論を吐かれてしまいました。
このまま見送ってあげた方がいいのでしょうか?
1. 現状の整理と問題点の明確化
まずは、現状を客観的に整理し、問題点を明確にすることから始めましょう。今回のケースでは、以下の点が重要です。
- 人手不足の深刻さ: 職員の退職は、既存の職員の負担増に直結し、サービスの質を低下させる可能性があります。
- 職員の退職理由: 祖母の介護という、個人的な事情が退職の主な理由です。しかし、その背景には、経済的な側面や、他の家族との関係性など、複雑な要素が絡み合っている可能性があります。
- 職員の経済状況への疑問: ゴールドカードの所持や、生活費に関する曖昧な説明など、経済的な余裕がある可能性を示唆する点があります。
- 本人の意思の強さ: 職場への不満がないにも関わらず、退職の意思が固い点は、対応を難しくしています。
これらの要素を踏まえ、まずは感情的にならず、冷静に状況を分析することが重要です。職員の退職は、組織にとって大きな損失となり得るため、慎重な対応が求められます。
2. 退職希望の職員とのコミュニケーション
退職を希望している職員とのコミュニケーションは、問題解決の第一歩です。以下の点に注意して、丁寧な対話を行いましょう。
2-1. 傾聴と共感
まずは、職員の話をじっくりと聞き、共感を示すことが重要です。彼の置かれている状況や、抱えている悩み、そして決断に至った経緯を理解しようと努めましょう。「大変でしたね」「お気持ち、よく分かります」といった言葉で、彼の心情に寄り添う姿勢を示してください。彼の話を遮ったり、否定的な意見を述べたりすることは避け、まずは彼の気持ちを受け止めることが大切です。
2-2. 具体的な質問と情報収集
彼の退職理由について、より深く掘り下げて質問しましょう。例えば、「北海道での生活について、具体的にどのような準備を考えているのか」「生活費については、どのように考えているのか」「現在の仕事で得られる経験やスキルを、将来どのように活かしたいと考えているのか」など、具体的な質問をすることで、彼の考えをより深く理解することができます。ただし、詮索しすぎないように注意し、相手が話しやすい雰囲気を作るように心がけましょう。
2-3. 職場への不満の有無の確認
彼は職場に不満がないと言っていますが、本当にそうでしょうか? 表面的な言葉だけでなく、本音を聞き出すために、より踏み込んだ質問をしてみましょう。「今の仕事で、何か困っていることはないか」「人間関係で、気になることはないか」「給与や待遇について、不満はないか」など、具体的な質問をすることで、彼の本音を引き出すことができます。もし、職場への不満がある場合は、改善策を検討し、退職を引き止めるための材料にすることができます。
3. 組織としての対応
職員とのコミュニケーションと並行して、組織としても、様々な対応策を検討する必要があります。人手不足という問題に対して、どのように取り組むかが、今後の組織の安定を左右します。
3-1. 労働環境の改善
人手不足を解消するためには、まず、労働環境の改善が必要です。具体的には、以下の点を検討しましょう。
- 人員配置の見直し: 業務効率を上げるために、人員配置を見直すことを検討しましょう。例えば、ベテラン職員と若手職員を組み合わせることで、経験と活力を融合させることができます。
- 業務の効率化: 業務プロセスを見直し、無駄な作業を削減することで、職員の負担を軽減することができます。例えば、記録の電子化や、事務作業のアウトソーシングなどを検討しましょう。
- 休暇の取得促進: 職員が十分に休息を取れるように、休暇の取得を促進しましょう。有給休暇の取得率を向上させるための施策を講じたり、連休を取りやすくするような工夫をしたりすることも有効です。
- 給与・待遇の見直し: 給与や福利厚生を見直すことで、職員のモチベーションを高め、定着率を向上させることができます。近隣の施設や病院の給与水準を参考に、適切な給与を設定しましょう。
3-2. 職員のキャリア支援
職員のキャリア形成を支援することで、彼らのモチベーションを高め、組織への貢献意欲を向上させることができます。具体的には、以下の点を検討しましょう。
- 研修制度の充実: スキルアップのための研修制度を充実させ、職員の成長をサポートしましょう。
- キャリアパスの提示: 職員が将来のキャリアビジョンを描けるように、キャリアパスを提示しましょう。
- メンター制度の導入: ベテラン職員が、若手職員の相談相手となるメンター制度を導入することで、職場への定着を促進することができます。
3-3. 職員の引き留め策の検討
退職を希望している職員に対して、引き留め策を検討することも重要です。ただし、彼の意思を尊重しつつ、組織としてもできることを提案するようにしましょう。例えば、
- 勤務時間の調整: 北海道への往復を考慮し、勤務時間を調整できないか検討しましょう。例えば、週に数日、または月に数日、北海道で勤務することを許可することも、一つの選択肢です。
- リモートワークの導入: 一部の業務をリモートワークにすることで、彼の負担を軽減できる可能性があります。
- 介護に関するサポート: 介護に関する情報提供や、外部機関との連携など、介護に関するサポートを提供することも、彼の負担を軽減することに繋がります。
4. 最終的な判断と見送り
これらの対策を講じた上で、最終的に、彼の退職を受け入れるかどうかを判断する必要があります。彼の意思が固く、どうしても退職を希望する場合は、無理に引き止めることは避けましょう。彼の決断を尊重し、円満な形で送り出すことが、組織にとっても、彼にとっても、最善の選択肢となる場合があります。
退職が決まった場合は、以下の点に注意して、円滑な退職手続きを行いましょう。
- 後任者の確保: 後任者を早急に確保し、業務の引き継ぎをスムーズに行えるようにしましょう。
- 退職後のフォロー: 退職後も、必要に応じて、彼をサポートする体制を整えましょう。
- 感謝の気持ちを伝える: 彼の貢献に感謝し、今後の活躍を応援する言葉を伝えましょう。
退職は、組織にとって大きな痛手ですが、同時に、新たな人材を獲得するチャンスでもあります。積極的に求人活動を行い、優秀な人材を確保することで、組織の活性化を図りましょう。
5. 専門家への相談
今回のケースは、非常に複雑な問題を抱えています。一人で悩まずに、専門家への相談も検討しましょう。例えば、
- 弁護士: 労働問題に詳しい弁護士に相談することで、法的な観点からのアドバイスを受けることができます。
- キャリアコンサルタント: 職員のキャリアに関する相談に乗ることで、彼の将来の選択肢を広げることができます。
- 社会福祉士: 介護に関する専門家である社会福祉士に相談することで、介護に関する具体的なアドバイスを受けることができます。
専門家のアドバイスを受けることで、客観的な視点から問題点を整理し、より適切な対応策を見つけることができます。
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6. まとめ
今回は、人手不足の職場で働く職員の退職問題について、具体的な対応策を解説しました。重要なのは、職員の話をじっくりと聞き、共感を示すこと、そして、組織として、労働環境の改善やキャリア支援、引き留め策を検討することです。最終的には、彼の意思を尊重し、円満な形で送り出すことが、組織にとっても、彼にとっても、最善の選択肢となる場合があります。専門家への相談も検討し、多角的な視点から問題解決に取り組みましょう。
この問題は、多くの医療・介護施設で共通して起こりうるものです。この記事が、あなたの組織における問題解決の一助となれば幸いです。
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