介護・福祉職の転職で陥りがちな「兼務問題」を徹底解説！法律違反のリスクと見極め方
介護・福祉職の転職で陥りがちな「兼務問題」を徹底解説！法律違反のリスクと見極め方
介護・福祉業界への転職を検討しているあなた、または現在、この業界で働いているあなたへ。今回の記事では、特に「兼務」という働き方に焦点を当て、その実態と注意点について詳しく解説していきます。 複数の施設や職種を兼務することは、一見すると多様な経験を積める魅力的な働き方に見えるかもしれません。しかし、そこには労働基準法や介護保険法、障害者総合支援法などの法律に抵触するリスクや、過重労働による心身への負担といった問題も潜んでいます。この記事では、これらのリスクを具体的に解説し、あなたが安心してキャリアを築けるよう、見極め方や対策を提示します。
このようなケースの場合、介護保険法、障害者自立支援法に違反しないのでしょうか？
とある社会福祉法人の障害者A型就労支援施設の面接に行って来ました。理事長との面接でしたが、即決採用されました（理由を付け回答は保留にしてます）。
本題は、求人にはA型の指導員とありましたが、理事長からはA型とB型の指導員、生活支援員、障害者・高齢者のグループホームの当直、障害者・高齢者の訪問介護、障害者・高齢者のデイサービス全てを兼任してもらうとのこと。また、現在特養と有料老人ホームも建設中でそちらの職員としても働いてもらうと。
つまり１日に複数の施設を回ったり仕事をすることになります。体が絶対持ちません。
法律に触れないのか聞いたのですが、問題はないとのこと。実際にはどうでしたっけ？サービス管理責任者やサービス提供責任者には兼任ができたりできなかったりしますが、平の職員の場合は覚えてません。
補足：放課後デイサービスの職員も兼任してもらうと言われました。
1. 兼務の実態と問題点：なぜ「体が持たない」のか？
今回の相談内容にあるように、複数の施設や職種を兼務することは、介護・福祉業界では珍しくありません。しかし、なぜ「体が持たない」と感じるのでしょうか。その背景には、以下のような問題点が潜んでいます。
1-1. 労働時間と休憩時間の問題
複数の施設を掛け持ちする場合、移動時間を含めた労働時間が長くなる傾向があります。労働基準法では、1日の労働時間は原則8時間、休憩時間は労働時間に応じて付与することが定められています。しかし、兼務の場合、休憩時間が十分に確保されない、あるいは休憩を取る時間的余裕がないという状況に陥りがちです。これは、過労につながり、心身の健康を損なうだけでなく、労働災害のリスクも高めます。
ポイント： 労働時間と休憩時間の管理は、あなたの健康を守る上で非常に重要です。 労働契約を結ぶ前に、労働時間や休憩時間について詳細に確認し、疑問点があれば必ず質問しましょう。
1-2. 業務内容の多様性と専門性の問題
介護・福祉の仕事は、それぞれの施設や職種によって専門性が異なります。例えば、A型事業所の指導員と、グループホームの生活支援員では、求められる知識やスキル、対応する利用者の状態が大きく異なります。複数の職種を兼務することで、それぞれの業務に必要な知識やスキルを十分に習得する時間がなくなり、質の高いサービスを提供することが難しくなる可能性があります。また、情報共有が不十分になり、連携不足から事故やトラブルにつながるリスクも高まります。
ポイント： 自分のスキルや経験、興味関心に合った職種を選ぶことが重要です。 複数の職種を兼務する場合は、それぞれの業務内容を理解し、十分な情報共有と連携体制が整っているかを確認しましょう。
1-3. 法律違反のリスク
介護保険法や障害者総合支援法などの法律では、人員配置基準が定められています。これは、利用者の安全と質の高いサービスを確保するために、それぞれの施設に必要な職員の数を定めたものです。兼務の場合、この人員配置基準を満たせなくなる可能性があります。例えば、ある時間帯に特定の職種の職員が不足し、十分なサービスを提供できない、あるいは無資格者が業務を行うといったケースが考えられます。このような場合、法律違反となり、事業所が行政処分を受けるだけでなく、あなた自身も責任を問われる可能性があります。
ポイント： 就職・転職前に、施設の運営体制や人員配置について詳しく確認しましょう。 疑問点があれば、遠慮なく質問し、納得できるまで説明を求めることが重要です。
2. 法律上の問題点：何が違反になるのか？
兼務が法律に抵触する場合、具体的にどのような問題が起こるのでしょうか。ここでは、関連する法律と、違反した場合のリスクについて解説します。
2-1. 労働基準法違反
労働基準法は、労働者の権利を守るための法律です。兼務の場合、以下のような違反が考えられます。
- 労働時間の上限超過： 1日の労働時間が8時間を超えたり、週の労働時間が40時間を超えたりする場合。
- 休憩時間の未付与： 労働時間が6時間を超える場合に45分以上、8時間を超える場合に1時間以上の休憩を与えない場合。
- 時間外労働・休日労働に関する協定（36協定）の未締結・違反： 時間外労働や休日労働を行う場合、事前に36協定を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。これに違反した場合。
労働基準法に違反した場合、事業者は是正勧告や罰金などの処分を受ける可能性があります。あなた自身も、未払い残業代を請求したり、労働契約を解除したりすることができます。
2-2. 介護保険法・障害者総合支援法違反
介護保険法と障害者総合支援法は、それぞれ介護保険サービスと障害福祉サービスの提供に関するルールを定めた法律です。兼務の場合、以下のような違反が考えられます。
- 人員配置基準違反： 施設の種類や利用者の数に応じて、必要な職員の数を満たしていない場合。
- サービス提供体制の不備： 必要な資格を持たない職員がサービスを提供したり、十分な研修を受けていない職員が業務を行ったりする場合。
- 不正請求： 実際には提供していないサービスについて、介護報酬や障害福祉サービス費を請求する場合。
これらの法律に違反した場合、事業者は指定の取り消しや事業停止、加算金の返還などの処分を受ける可能性があります。あなた自身も、業務停止や資格剥奪などの処分を受ける可能性があります。
2-3. その他の関連法規
上記以外にも、兼務に関連する法律は多数存在します。例えば、労働安全衛生法は、労働者の安全と健康を確保するための法律です。兼務による過重労働は、この法律に違反する可能性があります。また、個人情報保護法は、利用者の個人情報を適切に管理することを義務付けています。兼務により、情報漏洩のリスクが高まる場合、この法律に違反する可能性があります。
ポイント： 法律は専門的な知識が必要なため、全てを理解することは難しいかもしれません。しかし、労働条件や業務内容について疑問を感じたら、専門家や労働組合に相談するなど、積極的に情報収集することが重要です。
3. 兼務を見極めるためのチェックリストと対策
実際に求人を探したり、面接を受けたりする際に、兼務のリスクを見極めるためには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。ここでは、具体的なチェックリストと、問題回避のための対策を提示します。
3-1. 求人情報の確認ポイント
求人情報から、兼務の実態やリスクをある程度把握することができます。以下の点に注意して確認しましょう。
- 職務内容： 具体的な業務内容が明確に記載されているか。複数の職種を兼務する可能性がある場合は、それぞれの業務内容と、その割合が具体的に示されているか。
- 労働時間： 1日の労働時間、休憩時間、残業時間の有無が明記されているか。複数の施設を回る場合、移動時間も労働時間に含まれるか。
- 給与： 複数の職種を兼務する場合、それぞれの職種に応じた給与が支払われるか。残業代や各種手当の支給について明確に記載されているか。
- 人員配置： 各施設の人員配置基準が満たされているか。職員の配置状況や、資格保有者の割合について記載があるか。
- 研修制度： 兼務する職種に関する研修制度が整っているか。新しい知識やスキルを習得するための機会が提供されるか。
3-2. 面接での質問ポイント
面接では、求人情報だけでは分からない情報を、直接確認することができます。以下の点について質問しましょう。
- 兼務の具体的な内容： どのような職種を、どの程度の割合で兼務するのか。具体的なスケジュールや、1日の業務の流れについて確認する。
- 労働時間と休憩時間： 実際の労働時間や休憩時間について、具体的な事例を交えて質問する。残業の有無や、残業が発生した場合の対応についても確認する。
- 人員配置と連携体制： 各施設の人員配置基準が満たされているか。情報共有や、連携体制について、具体的な事例を交えて質問する。
- 研修制度： 兼務する職種に関する研修制度について、具体的に質問する。新しい知識やスキルを習得するための機会がどの程度提供されるのか確認する。
- 法律に関する認識： 労働基準法や介護保険法などの法律について、事業者の認識を確認する。法律違反のリスクについて、どのように考えているのか質問する。
3-3. 契約前の確認事項
内定を得て、実際に労働契約を結ぶ前に、以下の点について必ず確認しましょう。
- 労働条件通知書： 労働時間、休憩時間、給与、業務内容など、労働条件が明確に記載されているか。
- 就業規則： 兼務に関する規定が明確に記載されているか。労働者の権利や義務について、理解しておく。
- 労働契約書： 労働条件通知書の内容と相違がないか確認する。不明な点があれば、必ず質問し、納得してから署名する。
3-4. 働き始めてからの注意点
実際に働き始めてからも、問題がないか注意深く観察する必要があります。以下の点に注意しましょう。
- 労働時間の管理： 自分の労働時間を記録し、過重労働になっていないか確認する。
- 休憩時間の確保： 休憩時間をきちんと取得し、心身の健康を保つ。
- 業務内容の確認： 自分の業務内容が、労働契約の内容と一致しているか確認する。
- 問題が発生した場合の対応： 労働基準監督署や労働組合、弁護士などの専門家に相談する。
4. 成功事例と専門家の視点
兼務にはリスクが伴いますが、工夫次第でより良い働き方へと繋げることも可能です。ここでは、成功事例と専門家の視点を紹介し、あなたのキャリア形成をサポートします。
4-1. 成功事例：キャリアアップと両立を実現したAさんの場合
Aさんは、訪問介護とデイサービスの介護職員を兼務しています。彼女は、それぞれの業務で得た経験を活かし、利用者の方々のニーズに合わせた柔軟な対応を心がけています。また、事業所と積極的にコミュニケーションを取り、労働時間や業務内容について相談することで、過重労働を避けています。さらに、資格取得支援制度を利用し、介護福祉士の資格を取得。キャリアアップも実現しています。
ポイント： Aさんのように、自分のスキルアップを目指し、事業所と良好な関係を築くことで、兼務という働き方でも、キャリアアップと両立を実現することができます。
4-2. 専門家の視点：労働問題に詳しい弁護士の見解
労働問題に詳しい弁護士は、兼務について以下のように述べています。
「兼務は、労働者の権利を侵害する可能性があり、注意が必要です。労働時間や休憩時間、業務内容について、事前にしっかりと確認し、問題があれば、専門家に相談することが重要です。また、労働組合に加入することで、労働条件の改善を求めることもできます。」
ポイント： 専門家の意見を参考に、自分の権利を守り、安心して働ける環境を整えましょう。
5. まとめ：あなたのキャリアを守るために
この記事では、介護・福祉職における兼務の問題点と、その対策について解説しました。兼務は、多様な経験を積める一方で、法律違反や過重労働のリスクも伴います。あなたのキャリアを守るためには、求人情報の確認、面接での質問、契約前の確認、そして働き始めてからの注意が不可欠です。 法律や制度を理解し、自身の権利を守りながら、自分らしいキャリアを築いていきましょう。
もし、あなたが転職活動で悩んでいるなら、一人で抱え込まずに、専門家のサポートを受けることも検討してください。 専門家は、あなたの状況に合わせて、適切なアドバイスやサポートを提供し、あなたのキャリアを成功へと導きます。
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