交通事故後遺障害等級認定の疑問を解決!療養と等級認定、そして将来への備え
交通事故後遺障害等級認定の疑問を解決!療養と等級認定、そして将来への備え
この記事では、交通事故による後遺障害等級認定の手続きについて、特に高次脳機能障害を抱えるご家族の介護と将来への不安を抱える方々に向けて、具体的なアドバイスを提供します。療養型医療施設への転院や介護保険の適用など、複雑な状況下での等級認定のポイント、そして将来を見据えた準備について、専門家の視点からわかりやすく解説します。
まず、今回の相談内容を整理しましょう。
交通事故による後遺障害等級認定(高次脳機能障害)の手続きについてお尋ねします。
質問の主旨は言うまでもなく、適正な後遺障害の等級認定を得るためにはどうすべきか、です。
2012年11月末に父80才の自転車が四輪車と衝突し、救急搬送された急性期病院に入院してから約2か月が経過しています。
受傷後4日後に開眼してからは自発呼吸可となり、簡単な問いかけに対してイエスノーを頷きや首振りで回答するまでに回復し、現在も日による波はありながらも意識レベルや上下肢の運動機能は着実に改善に向かっていますが糞尿失禁の常時要介護状態(現状推定:第一級)で、医師からはびまん性軸損傷の診断を受け、口頭では今後飛躍的な回復の見込みは薄いと言われています。
昨年末より転院を勧告され、現在打診に対して受け入れ可能の回答があった「療養型医療施設(全病床)」への転院を検討しています。「回復期リハビリ病院」は軒並み受け入れ不可でした。
転院先の病院へは、気管切開/経鼻経管栄養という状態であるからなのか「医療保険適用病床」への入院となりますが、身体運動系のリハビリ設備は充実しているものの脳神経外科は無くMRI等脳検査設備もありません。そして主治医は内科医になるとの事でした。また入院後は病状により病院側の判断で「介護保険適用病床」へ移管すると文書上にあります。
現院のメディカルソーシャルワーカー(以下MSW」からは、“現院で治療は終了し、今後は加療・療養となる”旨の説明を受けましたが、担当主治医は治療終了に伴う“症状固定”を現時点でする意思はありません。
今後のケアが治療として認められるか介護になるかで来たるべき自賠責の「後遺障害の等級認定」にどう影響するのか、以下の懸念を感じています。
- そもそも後遺障害賠償の起点となる“症状固定”の時期はどのように決められるのか?内科医である主治医が継続的診断の上で判断し「後遺障害診断書」の作成が出来るのか?
- 「療養型医療施設」での療養は、等級認定申請の要件とされる“受傷後6か月間の継続治療”に充たるのか? 充たらないとすれば何か必須条件か?
- 受傷後6か月内に介護保険適用病床に切り替えられた場合、それ以降のケアは等級認定上の“治療”に充たるのか? 医療保険適用=治療行為という解釈なのか?
- 介護保険適用となった時点で、加害者側の任意保険会社は治療費の支払い終了を主張してくるのではないか?
その他、留意点(病院側、対向保険会社側ともに)がありましたら、ご教示頂ければ幸いに存じます。補足質問追加です。
- このまま障害等級第一級の状態だと、親族による損害賠償請求手続きを可能にするための家庭裁判所への「成年後見人開始の手続き」が必須になるかと思いますが、法的に選任されるまで相当な期間を要するため、その手続き申請は「後遺障害診断書」発行後(症状固定日後)、最優先に行うべき事との認識で問題ないでしょうか?
ご相談ありがとうございます。交通事故による後遺障害等級認定は、専門的な知識と経験が不可欠な複雑な手続きです。特に、高次脳機能障害のようなケースでは、適切な等級認定を得るために、綿密な準備と対応が求められます。以下、ご質問に沿って、具体的なアドバイスをさせていただきます。
1. 症状固定の時期と診断書の作成
症状固定の時期は、治療を継続しても、それ以上の改善が見込めなくなった状態を指します。これは、医師が医学的見地から判断し、決定します。内科医であっても、患者さんの状態を継続的に観察し、必要な検査(MRIなど)の結果を踏まえて、症状固定の判断をすることは可能です。ただし、脳神経外科医の意見も参考にすることが望ましいでしょう。
後遺障害診断書は、症状固定後の状態を正確に記載するために非常に重要です。この診断書の内容が、等級認定の判断に大きく影響します。医師には、患者さんの状態を詳細に伝え、必要な検査結果や治療経過を共有し、正確な診断書を作成してもらうことが重要です。もし、現在の主治医が後遺障害診断書の作成に不安がある場合は、脳神経外科医などの専門医に意見を求めることも検討しましょう。
2. 療養型医療施設での療養と6ヶ月間の継続治療
自賠責保険における後遺障害の等級認定では、受傷から6ヶ月以上の治療期間が重視されます。療養型医療施設での療養が、この「治療」に該当するかどうかは、施設の医療体制や提供されるケアの内容によって判断が異なります。重要なのは、その施設で、
- 医師による診察や投薬などの医療行為が継続的に行われているか
- リハビリテーションなどの治療的ケアが提供されているか
という点です。療養型医療施設であっても、これらの条件を満たしていれば、治療期間として認められる可能性があります。しかし、介護色が強くなると、治療と認められにくくなる場合もあります。
転院先の療養型医療施設が、医療保険適用病床であり、医師による継続的な診療と必要な医療ケアが提供されるのであれば、治療期間として認められる可能性は高いでしょう。ただし、転院前に、施設の医療体制や提供されるケアの内容について、詳細な確認をしておくことが重要です。また、転院後も、定期的に医師の診察を受け、治療内容や経過を記録しておくことが大切です。
3. 介護保険適用病床への切り替えと等級認定への影響
介護保険適用病床への切り替えは、必ずしも「治療」が終了したことを意味するわけではありません。介護保険適用病床でも、医療的なケアが継続して提供される場合があります。重要なのは、
- 医療保険適用から介護保険適用に切り替わった後も、医師による診察や投薬などの医療行為が継続しているか
- リハビリテーションなどの治療的ケアが提供されているか
という点です。これらの条件を満たしていれば、介護保険適用後も、治療期間として認められる可能性があります。ただし、介護保険適用になると、加害者側の保険会社が治療費の支払いを打ち切る可能性があります。その場合、介護保険の給付を利用することになりますが、自賠責保険からの賠償金で補填できる部分もあります。
4. 治療費の支払い終了と任意保険会社との対応
加害者側の任意保険会社は、介護保険適用となった時点で、治療費の支払い終了を主張してくる可能性があります。しかし、介護保険適用後も、医療的なケアが継続している場合は、治療費の一部を請求できる場合があります。この点については、弁護士などの専門家に相談し、適切な対応を取ることが重要です。
保険会社との交渉では、
- 医師の診断書や診療記録
- 介護保険の利用状況
- 今後の治療計画
などを根拠として、治療費の必要性を主張します。また、後遺障害の等級認定の結果によっては、将来の介護費用や逸失利益についても、賠償を請求することができます。
5. 成年後見人制度の利用と手続き
後遺障害の等級が第一級の場合、ご本人が意思表示をすることが困難な状況であるため、親族による損害賠償請求手続きを行うためには、家庭裁判所への「成年後見人開始の手続き」が必須となります。この手続きには、時間がかかるため、後遺障害診断書の発行後、速やかに手続きを開始することが重要です。
成年後見人が選任されるまでの間は、ご家族が一時的に財産管理を行うことができますが、正式な手続きを経ないと、法的な効力を持つ行為(例えば、損害賠償請求など)を行うことができません。成年後見人制度の利用は、ご本人の権利を守り、適切な賠償を受けるために不可欠な手続きです。
成年後見人制度の手続きは、専門家(弁護士や司法書士)に依頼することもできます。専門家に依頼することで、手続きをスムーズに進めることができ、ご家族の負担を軽減することができます。
6. その他、留意点
病院側の対応
- 転院先の病院との連携を密にし、現在の治療状況や今後の治療計画について、情報共有を徹底しましょう。
- 転院先の病院の医療体制や、提供されるケアの内容について、事前に詳細な確認を行いましょう。
- 転院後も、定期的に医師の診察を受け、治療内容や経過を記録しておきましょう。
対向保険会社側の対応
- 保険会社との交渉は、弁護士などの専門家に依頼することを検討しましょう。
- 医師の診断書や診療記録など、必要な資料を収集し、保険会社に提出しましょう。
- 後遺障害の等級認定の結果によっては、将来の介護費用や逸失利益についても、賠償を請求することができます。
高次脳機能障害に関する専門知識
高次脳機能障害は、外見からは分かりにくい障害であり、周囲の理解を得ることが難しい場合があります。専門医による適切な診断と、リハビリテーションなどの専門的なケアが重要です。また、高次脳機能障害に関する専門的な知識を持つ弁護士に相談することも、適切な賠償を得るために有効です。
弁護士への相談
交通事故による後遺障害の等級認定や損害賠償請求は、専門的な知識と経験が必要となるため、弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は、
- 後遺障害の等級認定の手続きをサポート
- 保険会社との交渉を代行
- 適切な賠償額を算定
- 将来の介護費用や逸失利益に関するアドバイス
など、様々なサポートを提供してくれます。弁護士に相談することで、ご自身の権利を守り、適切な賠償を受けることができます。
今回のケースでは、高次脳機能障害という特殊性から、専門的な知識と経験を持つ弁護士に相談することが、非常に重要です。弁護士は、医学的な知識も踏まえ、適切な等級認定と賠償額を追求してくれます。また、成年後見人制度の手続きについても、サポートしてくれます。
交通事故後の手続きは複雑で、精神的な負担も大きいものです。一人で抱え込まず、専門家や周囲のサポートを受けながら、一つ一つ問題を解決していくことが大切です。
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まとめ
交通事故による後遺障害等級認定は、専門的な知識と経験が不可欠な複雑な手続きです。特に、高次脳機能障害のようなケースでは、適切な等級認定を得るために、綿密な準備と対応が求められます。今回のケースでは、以下の点が重要です。
- 症状固定の時期は、医師の判断が重要であり、脳神経外科医の意見も参考にすることが望ましい。
- 療養型医療施設での療養が治療と認められるかは、施設の医療体制や提供されるケアの内容による。
- 介護保険適用への切り替えは、必ずしも治療の終了を意味するわけではない。
- 加害者側の保険会社との交渉は、弁護士などの専門家に依頼することが望ましい。
- 成年後見人制度の手続きは、速やかに開始する必要がある。
ご家族の将来を守るためにも、専門家のアドバイスを受けながら、適切な対応を取ってください。今回の情報が、少しでもお役に立てれば幸いです。
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