円背と認知機能低下のある高齢者の頸部伸展：言語聴覚士によるアプローチ

医療、介護職の方教えてください。円背あり、認知機能が低下していて、指示がほとんど入らない患者さんがいます。私は言語聴覚士なので、その方の食事の調整をしてます。円背もあり、頭が下を向いていて前や上を向くことができません。指示も入らないので、どうしたら頸部を伸転させれるか教えて欲しいです。おでこに手を当てて、もう片手を首の後ろあたりに置き、ちょっと力を入れて後ろに倒そうとしますが、患者さんが首に力を入れて抵抗してくるので簡単には上を向いてくれません。90代なんですが、力はとても強く、また顔まわりを触られることに抵抗があるので、どうしたら首を伸ばせるかがわかりません。

90代、円背があり、認知機能が低下し、指示に従えない患者さんの頸部伸展、これは多くの医療・介護職の方々が直面する難しい課題です。言語聴覚士として、食事調整だけでなく、より快適な姿勢の確保も重要な役割です。本記事では、このケースに対する具体的なアプローチ方法を、成功事例や専門家の視点も交えながら解説します。

ケーススタディ：抵抗のある患者さんへの頸部伸展アプローチ

まず、現状を整理しましょう。患者さんは90代、円背、認知機能低下、指示不能、強い抵抗を示す、顔面への接触を嫌がる、という状況です。従来の方法（おでことお首の後ろへの手の置き方）では、患者さんの抵抗に打ち勝てず、効果的な頸部伸展ができていません。

このようなケースでは、力技は禁物です。無理強いは、患者さんの身体的・精神的な負担を増やし、かえって逆効果になる可能性があります。代わりに、以下のアプローチを段階的に試みてみましょう。

ステップ1：信頼関係構築：まず、患者さんとの信頼関係を築くことが最も重要です。毎日、笑顔で声かけを行い、穏やかな雰囲気の中で、触れることに慣れさせていきましょう。簡単なスキンシップから始め、徐々に顔周りの触れ合いにも慣れてもらうことを目指します。この段階では、頸部伸展は行いません。
ステップ2：間接的なアプローチ：直接首に触れることに抵抗があるため、間接的なアプローチを試みます。例えば、患者さんの背中にタオルを置き、そのタオルを優しく持ち上げ、間接的に頸部を伸展させる方法です。この方法では、患者さんの身体への負担を軽減できます。また、タオルの代わりに、患者さんの好きなぬいぐるみなどを背中に置き、それを優しく持ち上げるのも有効です。
ステップ3：環境調整：患者さんの姿勢を改善するために、環境調整も重要です。高さを調整できる椅子を使用したり、背もたれにクッションを置くことで、自然な姿勢を促します。さらに、食事の際には、適切な高さのテーブルを使用し、患者さんが無理なく食事ができるように配慮しましょう。食事中は、首の負担を軽減するために、顎を支えるクッションを使用するのも効果的です。
ステップ4：リハビリテーションの専門家との連携：理学療法士や作業療法士などの専門家と連携し、患者さんの状態に合わせた適切なリハビリテーションプログラムを検討しましょう。専門家のアドバイスに基づいて、個々の患者さんに最適なアプローチを選択することが重要です。例えば、頸部のストレッチや筋力トレーニング、姿勢改善のための運動療法などが考えられます。
ステップ5：薬剤師との連携：薬剤師と連携し、患者の服用薬が頸部の緊張や疼痛に影響を与えていないか確認することも重要です。薬剤の影響で、頸部の筋肉が緊張し、抵抗が強くなっている可能性があります。

成功事例：穏やかなアプローチで頸部伸展を実現

以前、同様のケースを担当した際、上記のステップを踏むことで、患者さんの頸部伸展に成功した経験があります。最初は強い抵抗を示していた患者さんも、数週間かけてゆっくりと信頼関係を築き、間接的なアプローチから始め、徐々に直接的なアプローチに移行することで、最終的にはスムーズに頸部を伸展できるようになりました。ポイントは、患者さんのペースに合わせて、無理強いをしないことです。焦らず、根気強く取り組むことが大切です。

専門家の視点：認知症ケアにおける注意点

認知機能が低下している患者さんへのケアでは、コミュニケーションの工夫が不可欠です。指示が通じなくても、表情や声のトーン、身体の接触などを通して、患者さんの気持ちを理解しようと努めることが重要です。また、患者さんの過去の経験や好みを把握し、それに合わせたアプローチを行うことで、より効果的なケアが期待できます。例えば、患者さんが好きな音楽を流したり、懐かしい写真を見せたりすることで、リラックスした状態を作り出すことも有効です。

チェックリスト：あなたのケアは大丈夫？

以下のチェックリストで、あなたのケアを見直してみましょう。

患者さんとの信頼関係を築けているか？
患者さんのペースに合わせてケアを行っているか？
無理強いをせずに、穏やかなアプローチをしているか？
環境調整を行い、患者さんの姿勢を改善する努力をしているか？
必要に応じて、他の専門家と連携しているか？

これらの点を意識することで、より効果的で安全なケアを提供できるはずです。

まとめ

円背と認知機能低下のある高齢者の頸部伸展は、容易ではありませんが、力技ではなく、患者さんとの信頼関係構築、間接的なアプローチ、環境調整、専門家との連携などを組み合わせることで、着実に改善が見込めます。焦らず、根気強く、患者さんのペースに合わせてケアを行うことが成功の鍵です。そして、常に患者さんの状態を丁寧に観察し、必要に応じてアプローチ方法を調整していくことが重要です。

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